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富士山に発生する笠雲の発生と気象学的考察 日本大学大学院
地球情報数理科学専攻M1
清水 崇博
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【目的】
日本大学では現在、様々な研究用途に応用するため、富士山周辺5箇所に監視カメラを設置している。本研究ではこのカメラを利用することにより、雲の動きから周囲の気流の特徴を捉えることを最終目的とし、そのための第一段階として、富士山における特徴的な雲である笠雲の発生日の気象条件を気流を中心に解析し、その発生要因について考察した。
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日本大学富士山監視プロジェクト
←富士山監視プロジェクトカメラ位置 〔遠藤他(2002)を修正〕 ↑実際に使用したカメラ 毎日1分毎の画像を取得している。
夜間の観測も可能である。
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使用データ
解析対象期間 2002年1月1日~12月31日の1年間 日本大学富士山観測プロジェクト (山中湖・富士宮)
気象庁AMeDAS風向風速データ (使用地点・・・富士山・山中・御殿場・河口湖・上九一色・中富・南部・大月・浜松・御前崎・牧の原・清水・静岡・吉原・三島・福田・松崎・石廊崎・小田原・辻堂・海老名)
気象庁ウィンドプロファイラデータ (河口湖・静岡)
日本気象学会誌『天気』掲載の「日々の天気図」
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笠雲の定義
1月1日 2月2日 5月26~27日 全て山中湖からの画像 本研究では笠雲を以下のように定義した
存在位置が山頂に接地している、もしくは真上にある。
レンズ雲である⇒(レンズ雲・・・10種雲形で表すと巻積雲・高積雲・層積雲に分類される、表面が滑らかな凸状の雲)
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過去の笠雲の主な研究
植野(1950)・・・高層観測データを使用し、気温の不連続面が高度3~5Km付近に存在する時に笠雲が発生する。
湯山(1972)・・・20年間の笠雲発生日の統計を取り、その結果、7月が一番多く、10月が一番少ない。
大井他(1974)・・・600hPa高度を境に、それより上層は湿度が月平均より20%高く、逆に下層では20%低い時に発生する。日本海低気圧が存在する時に発生しやすい。
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日本海・北海道に低気圧があるときと、北方に前線があるときの合計は全体の61%であり,北方の擾乱が笠雲の形成に影響を与えている。また、台風が沖縄付近を接近中の時に発生する笠雲も多かった。
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笠雲発生時の地上風系
駿河湾からの南風が富士山に当たって東側と西側に別れ、両側を回りこむ風系が解析される。 2002/4/17 21:41~22:49に発生した笠雲 日本気象協会『天気』日々の天気図より
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ウィンドプロファイラを用いた解析
笠雲発生時刻 シアライン 笠雲発生時刻
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地上付近の風 上空3000mの風 カシミールSD(ダン杉本氏作成)使用
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まとめと考察
2002年の笠雲の発生回数は7月と11月に多い。
笠雲発生日の地上風系を解析すると,駿河湾からの南風が,富士山の東側と西側を周り込む風系をしていた。
上記の地上風系を河口湖のウィンドプロファイラデータで解析すると,高度3000m付近にまで及び、地上の風と山頂付近の自由な風との間にシアを生じる。
この3000m付近のシアが作り出す2層の構造が笠雲発生の原因であり、このシアを生じる南風を引き起こすのが北方にある擾乱や沖縄付近の台風である。
本研究の結果、植野(1950)が示した温度による不連続線のほかに、風系による不連続線も解析ができた。
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今後の課題
本研究で使用したカメラ以外を含め、現在5台のカメラを設置中である。5台すべて生かし、富士山周辺を周りこむ風を実証したい。
今回は笠雲の細かい形の違いにはこだわらずに解析した。今後は形の違いについても着目し、解析してゆきたい。
笠雲以外の雲発生時における気流も解析し、周辺の気流の特徴を明らかにしたい。
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参考文献
遠藤邦彦・坪井哲也・大野希一・小林貴之(2002):富士山監視カメラシステム.月刊地球,24,9,645-650.
日本気象学会編(2002):日々の天気図.気象,539,17,686-17,687.
日本気象学会編(2002):日々の天気図.天気,49,(5)406-409,(6)488-489,(7)554-555,(8)670-671,(9)842-843,(10)914-915,(11)774-775,(12)978-979.
日本気象学会編(2003):日々の天気図.天気,50,(1)42-43,(2)104-105.
大井正一・山本三郎・曲田光夫(1974):富士山の雲と大気の成層状態.気象研究ノート,118,39-54.
植野隆壽(1950):富士山雲の研究(其2)山雲の分類と天気.気象庁研究時報,2,1-9.
湯山 生(1972):富士山にかかる笠雲と吊し雲の統計的調査.気象庁研究時報,24,415-420.
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